ダイバーズウォッチの謎。「エスケープバルブ」って何?
ダイバーズウォッチの側面に、ポツンと付いている小さなネジや突起――。「これ、何に使うんだろう?」と気になったことはありませんか?
今回は、本格的なダイバーズウォッチに搭載されている「ヘリウムエスケープバルブ」について、分かりやすく解説します!
ヘリウムエスケープバルブってなに?
ヘリウムエスケープバルブ(別名:ヘリウムガスエスケープバルブ)とは、一言で言うと「時計の内部にたまったヘリウムガスを外に逃がすための安全装置」です。
普段の生活や、一般的なスキューバダイビングではまず必要ありません。この機能が本領を発揮するのは、プロの深海作業員が挑む「飽和潜水(ほうわせんすい)」という特殊な環境です。
なぜ時計にガスがたまるの?トラブルの仕組み
水深数百メートルといった深海で長時間作業をする場合、ダイバーは「ヘリウムと酸素を混ぜたガス」を呼吸して生活します。
ここで問題になるのが、ヘリウムの性質です。
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ヘリウムの分子は、宇宙一レベルでめちゃくちゃ小さい。
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そのため、どれほど高い防水・気密性を誇るダイバーズウォッチであっても、時間の経過とともに分子がパッキンの隙間をすり抜け、時計の内部に入り込んでしまうのです。
ここまでは大きな問題ではありません。本当に怖いのは、海面へ戻る「減圧(げんあつ)」のタイミングです。
💥 起きてしまう悲劇(風防が吹っ飛ぶ!)
地上に戻る際、外の気圧は急激に下がります。しかし、時計の内部に入り込んだヘリウムガスは、外へ抜け出せずに閉じ込められたまま膨張しようとします。
結果どうなるかというと、「内側からパンパンに膨らんだガスの圧力で、時計のガラス(風防)がポーンと吹き飛んでしまう」という現象が起きてしまうのです。
どうやってガスを逃がすの?2つのタイプ
この「ガラスブワッ!事件」を防ぐために生まれたのがエスケープバルブです。仕組みや操作方法の違いによって、主に2つのタイプがあります。
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自動式(スプリング内蔵タイプ)
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内部の気圧が高くなると、バルブのバネが自動で押し戻され、ガスを外に逃がす仕組みです。ダイバーが自分で操作する必要がなく、非常にスマートです。
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手動式(ねじ込みタイプ)
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浮上時の減圧プロセスに合わせて、ダイバー自身がリューズのようなバルブを緩めてガスを抜き、終わったら締め直すタイプです(オメガのシーマスターなどに多く見られます)。
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まとめ:ロマン溢れる「プロのための装備」
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ヘリウムエスケープバルブは、深海での「飽和潜水」で時計が壊れるのを防ぐプロ用パーツ。
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普段使いの日常生活(水泳やスキューバダイビング程度)では、ヘリウムガスが内部に大量侵入することはないため、バルブが開くこともありません。
「普段は使うことがないオーバースペックな機能」ではありますが、だからこそ時計好きのロマンをくすぐるディテールだと言えます。次にゴツめのダイバーズウォッチを見かけたら、ぜひケースの側面(9時位置あたり)をチェックしてみてくださいね!
