ノモスのような機械式の手巻き時計を長く愛用するために、日常の巻き方や保管方法

ノモスのような機械式の手巻き時計を長く愛用するために、日常の巻き方や保管方法

ノモス(NOMOS)の時計、特に名作キャリバーを搭載したタンジェントのような手巻き時計は、正しい知識を持って付き合えば「一生物」どころか次の世代まで引き継げるほど頑丈な機械です。

毎日リューズに触れる手巻き時計だからこそ、知っておきたい「長持ちさせるための4つの約束」を、分かりやすく解説します。

1. ゼンマイの巻き方:「毎日、同じ時間に、優しく」

手巻き時計にとって、リューズを巻く行為は人間でいう「食事」のようなものです。

ベストなタイミング

「朝、出かける前」に巻くのが一番おすすめです。 ゼンマイが限界まで巻かれている状態(最大トルク)のときが、時計の精度が最も安定します。これから活動を始める朝に満タンにしてあげることで、1日中正確に時を刻んでくれます。

巻き方のコツと注意点

  • 指の腹でゆっくりと: 親指と人差し指の腹でリューズを挟み、上(12時方向)に向かって優しくカリカリと回します。

  • 「巻き止まり」は絶対に見逃さない: 巻き進めていくと、ある瞬間リューズが急に重くなり、それ以上進まなくなります。これが「巻き止まり」です。ここで「あとちょっと…」と無理に力を入れると、中のゼンマイがブチッと切れて即修理(要パーツ交換)になります。重くなったらそこでストップ、が鉄則です。

  • 腕から外して巻く: 腕に着けたまま巻こうとすると、リューズの軸(巻真)に斜めの負荷がかかり、軸が曲がったり中のパッキンが傷んだりします。必ず時計を外して、水平な状態で巻きましょう。

2. 日常の保管方法:天敵は「磁気」と「湿気」

機械式時計は、現代の私たちのライフスタイルの中にたくさんの天敵が潜んでいます。

① スマートフォンやPCの近くに置かない(磁気帯び対策)

これが現代で最も多い不具合の原因です。時計の心臓部である「テンプ」というパーツは金属の精密なバネでできており、強い磁気を浴びるとパーツ同士が磁石のようにくっついてしまい、「急に時間がめちゃくちゃ進む(または遅れる)」という症状が出ます。

  • スマホ、パソコン、タブレット、バッグのマグネット留め具、スピーカーなどから最低でも10cm(できれば30cm以上)は離して保管してください。

② 水回りは避ける(湿気対策)

タンジェントは「3気圧防水(日常生活防水)」です。これは「雨や洗顔の際の水しぶきに耐えられる」というレベル。 特に注意したいのが洗面所や結露する窓際、加湿器の近く。目に見えない微細な「水蒸気」は、防水パッキンの隙間をすり抜けて内部に侵入し、文字盤のシミやサビの原因になります。

3. オーバーホール(分解掃除)の頻度

車に車検があるように、時計にも定期的なメンテナンスが必要です。

推奨される頻度: 4年 〜 5年に1回

「問題なく動いているから出さなくていいや」と思いがちですが、時計の内部では、1秒間に何回も金属同士が擦れ合っています。パーツに塗られている精密な潤滑油は、3〜5年で乾いたり酸化したりしてドロドロに固まってしまいます。

油が切れた状態で動かし続けると、金属の軸が削れてしまい、次のオーバーホールの際に見積もり金額が跳ね上がることになります。人間でいう「健康診断」として、5年に1度はプロに見てもらいましょう。

4. タンジェントならではの「お手入れ」のツボ

タンジェントの標準ストラップである「シェルコードバン」と、薄型ケースならではのケアについてです。

  • 裏蓋の汗は毎日拭き取る: タンジェントは6.6mmと非常に薄いため、裏蓋が手首の肌にピタッと密着します。そのため、思った以上に汗を吸いやすいです。外した後は、マイクロファイバークロスなどの柔らかい布で、裏蓋とレザーの裏側をサッと拭くだけで、サビや臭いの発生を劇的に防げます。

  • コードバンは「乾拭き」が基本: ノモスが採用しているホーウィン社のコードバンは非常に上質で、オイルがたっぷり含まれています。そのため、基本的にはクリームなどを頻繁に塗る必要はありません。使い込んでカサついてきたなと感じた時(1年に1〜2回程度)だけ、ほんの少量のレザークリームを塗るだけで十分です。

💡 最後に:手巻き時計は「ちょっと手間がかかる相棒」

自動巻きやクォーツ(電池式)に比べると、確かに手巻き時計は手がかかります。しかし、毎朝ゼンマイを巻くその数秒のコミュニケーションこそが、デジタル社会の中で「時間を所有している感覚」を一番味わえる贅沢な時間になります。

ぜひ、この少しの注意点をルーティンにして、ノモスとの時間を末永く楽しんでください!

【参考アイテム】ノモスグラスヒュッテ・タンジェント35
ノモス タンジェント 35mmはなぜ「一生モノ」と言われるのか?




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