徹底解析『Cal.Hシリーズ』【前編】

徹底解析『Cal.Hシリーズ』【前編】

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今回は時計の中身『ムーブメント』に関するお話。

ちょっとコアな話になるかもしれませんが、現ハミルトンオーナーの方にもこれからハミルトンオーナーになる方にも、ぜひ知っておいていただきたいことが沢山ありますので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです(^^♪

多少長編になりますので【前編】【後編】に分けてご紹介していきます。

さて、というわけでご紹介に入ろうかと思うのですが、今回ご紹介するのは”H”シリーズの中でも機械式のみの12ムーブメントをご紹介します。
3針からクロノグラフまでメインとなっているオートマチックムーブメント全てをご紹介していきます。

■①H-10 (3針デイト)

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まずご紹介するのはメインムーブメントの1つ、Cal.H-10です。
このH-10から派生するムーブメントが多く、現在のハミルトンにおいて基盤となる機械だと言えます。

このH-10は、Cal.2824‐2というムーブメントがベースになっています。

これは、世界的ムーブメントメーカーのETA社が製造するムーブメントで、タグホイヤーのCalibre 5やロンジンのCal.L633のベースにもなっており、TUDORやSINN、TISSOTも搭載する名機です。

H-10の基本スペックは以下の通り。

【H-10】
直径:25.60mm
石数:25石
リザーブ::80時間
振動数:21600振動
曜日表示:日付のみ
針表示:時、分、秒

さて、このムーブメントにおいて特筆すべきはやはり80時間というパワーリザーブでしょう。

他ブランドも含め、通常のムーブメントでは約40時間前後のリザーブが多く、2日置いておくと止まってしまうものがほとんどでした。

しかし、より実用性を高めるために世界的なムーブメントメーカーであるETA社とハミルトンが共同開発したこのH-10は、香箱から脱進機までの一連の運動連鎖の改良により、80時間という画期的な標準持続時間を達成。
ようは動力ゼンマイがフル巻きであれば、3日使わなくても止まらないわけです。

さらに、テンプ部分の緩急針を取り除きフリースプラング方式を採用。

フリースプラングとは、テンプに付けた小さいネジを調節することで、振動のスピードを変化させる方式です。
簡単に言うと、錘の重さを調整することで回転のスピードを変化させる仕様のことです。

これにより、動力ゼンマイがほどけてトルクが小さくなった際にも高い精度を安定的に維持でき、ヒゲゼンマイの摩耗も抑えられるというハイクオリティのムーブメントとなりました。

現在、ROLEXの最新ムーブメントCal.3255で70時間、GRAND SEIKOの9S系で72時間ですから、それを凌駕するリザーブを持つことになります。

ここで疑問が一つ。

「ハミルトンはなぜ、この価格でハイクオリティのムーブメントが搭載できるのか?」

これに関してご説明するには、時計業界の仕組みからご紹介する必要があるため今回は割愛させて頂きます。
本当に大雑把にご説明するなら、ハミルトンとETAはとても仲が良いということです。あ、オメガやティソ、ロンジンなんかもそうですね。
気になった方がいらっしゃいましたら、店頭で詳しくご説明しますのでお気軽に遊びにいらしてください(^^♪

■②H-30(3針デイデイト)

べースはH-10と同じですが、こちらは3文字の曜日表記が追加されたデイデイトです。
主に、ブロードウェイやカーキに搭載。
もちろん80時間のパワーリザーブを持つ機械ですので、実用性は抜群です。

■③H-40(3針デイデイト)

こちらもベースはH-10と同じ。
さらにH-30と同じデイデイトですが、こちらはフルスペルの曜日表記機能が付いています。
ジャズマスターのデイデイト等に搭載。
カーキフィールドにも搭載機がありますが、搭載個体は少ないムーブメントです。

■④H-10-S (3針)

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①でご紹介したH-10に装飾や切り抜きを施し、スケルトンウォッチ専用に「見せる」ことを考えたムーブメントが、このH-10-Sです。

実用性はそのまま(80時間のパワーリザーブ)に、ローター(回転錘)には飛行機の両翼をイメージした切り抜きが施され、地盤にもペラルージュやスネイルといった伝統的装飾が施されています。

レイルロードスケルトンに搭載されるムーブメントです。

■⑤H-20-S (3針)

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こちらもスケルトンウォッチ専用なのですが、④でご紹介したH-10-Sとは装飾や切り抜きが若干異なります。
地盤には全体的にハミルトンの”H”を組み合わせた特徴的な装飾が施されており、それ以外はほとんどほとんど装飾はありません。

さらに、テンプ部分を見るとフリースプラング式ではなく、”エタクロン”という調整範囲の広い緩急針を使用しています。
リザーブは約42時間です。

というわけで駆け足でご紹介しましたが、前編はここまで!

前編は3針のムーブメントを中心にご紹介しました。
後編はクロノグラフやレギュレーター、スモールセコンドといったムーブメントをご紹介します。

徹底解析『Cal.Hシリーズ』【後編】

 

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