金属のスペシャリスト『DAMASKO/ダマスコ』

金属のスペシャリスト『DAMASKO/ダマスコ』

【異例の時計メーカーの創業】

ダマスコの創業は1994年と比較的若く、時計業界ではまだまだ無名に近い時計メーカーであります。

1994年、ドイツ・レーゲンスブルクでダマスコを創業したコンラッド・ダマスコ。彼は時計技師でも時計デザイナーでもない異例の経緯で自身の時計ブランドを立ち上げる事となります。

コンラッドの専門は『金属』。金属の性質と美しさに深く陶酔していった彼は、1990年に前身となるダマスコ金属加工会社を立ち上げました。そして某ドイツ時計ブランドに『傷の入らないケース製造』を依頼された事により、ダマスコは自社の時計製造へと大きく躍進して行くのです。

 複雑な機械式時計の構造、そして要所で使い分けられた素材に興味をそそられたコンラッドが自社の時計ブランドを立ち上げる事は、ごく自然の成り行きだったかの様に思えます。

ダマスコを経営するダマスコファミリー

 

【時計は金属で出来ている】

 複雑な機械式時計を構築しているのはステンレススチールや真鍮、ゴールドと言った金属達です。しかも要所要所で耐久性や耐浸食性、重量など、違った性質のモノが求められます。ヒゲゼンマイに至っては細く軽く丈夫で伸縮する特殊素材に限られ、世界でも数社しか開発、製造が出来ない希少な素材に頼らなければなりません。

金属のスペシャリストであるコンラッドの目には、腕時計の要所要所に適した金属が、まるで答え合わせの様に、スッと映し出されていたのかもしれませんね。

ムーブメントは金属の塊

 

【ダマスコのテクノロジーの数々】

個人的に時計の魅力を語る上でブランドの歴史を多めにお話しする事が有りますが、ダマスコは歴史が浅く、正直お話しする内容にボリュームが有りません。しかしながら、この金属のプロフェッショナルであるダマスコには驚愕のテクノロジーが満載で話が尽きる事が有りません。

①ドイツDIN規格
②ステンレススチールと硬化処理 ※特許取得済
③DAMESTコーティング ※特許取得済
④ガスケットシステム ※特許取得済
⑤リューズ ※特許取得済
⑥ベゼル ※特許取得済
⑦インナーケース ※特許取得済
⑧EPS-スプリング ※特許取得済
⑨オイルフリーエスケープメント ※特許取得済
⑩マイクロボールベアリング

 いずれのテクノロジーも、腕時計の扱い方の概念を大きく変化させてくれる素晴らしいモノで、一般的な伝統ある時計メーカーでは、今まで思い付きさえもしなかった事が多く含まれています。そしてそれらが全て、金属で解決できるモノばかりだった事に驚きました。

このテクノロジーの全てを話そうと思うと、おそらく伝統的なブランド5つ分程のボリュームを要すると思います。一つ一つを詳しく説明すると非常に長くなってしまいますので、いくつかに絞ってお話させて頂きます。

 

【傷の入らないケース】※テクノロジー②③

ダマスコの分かりやすい特徴は何といっても硬いケース素材。通常のステンレスの4倍の硬度を誇る超硬ステンレスです。これにより、日常生活においておおよそ予測のできる衝撃では一切傷が入る事が有りません。おそらく、20年間使用した後でも今の容姿を保ってくれているでしょう。

当店でも実際にカッターやドライバーで叩いてみましたが、やはり小傷さえも入りませんでした。このケース素材はダマスコの全モデルで標準装備されています。それ以外にもスペースシャトルの噴射口や潜水艦の外装にも採用されるスーパー金属なのです。 

DAMESTコーティングを施した超硬ステンレス

 

【80,000A/mの高耐磁性】※テクノロジー①⑦

現代の時計のトラブルで1位にあげられる磁気によるトラブル。PCやスマホから受ける磁気の影響により時計にダメージを与えてしまう事が分かりました。これには各メーカーが対策を考え、既に高耐磁性の機構も多く生み出されています。しかしながら、いずれのメーカーも結果的に高価な仕様になってしまい、実用的な価格帯での同じスペックのモノは極めて少ないのが現状です。

ダマスコはロレックス・ミルガウスと同じ80,000A/mの耐磁性を全モデルに標準装備する事に成功しました。

堅牢なケースや特殊素材で実現した高耐磁性

 

 【高耐水性と気の利いた仕様】※テクノロジー①⑤

水入りも時計のトラブルで上位にあげられます。タチが悪いのは、時計の水入りにおける修理は、分解掃除、文字盤交換、ケース交換となる場合が多く、時計修理の中で一番高額になってしまう恐れが有るのです。

ダマスコは全てのモデルに100メータ以上の防水性を与えています。そして気の利いた事に、防水性を高めるための『ねじ込み式リューズ』の仕様でアリがちな、『リューズの締め忘れ』の場合においても、しっかりと防水性を保ってくれているのです。

特殊な構造をしたケースとリューズ

 

 【摩耗しない素材】※テクノロジー②③⑤⑥⑧⑨⑩

時計において駆動する箇所、歯車やリューズ、回転ベゼルと言った箇所には緩衝材、又は噛み合わせの溝やバネが取り付けられています。ところがこれらは使用する度に摩耗していき、最終的には緩くなって不具合を起こしてしまいます。

ダマスコは超硬ステンレスや独自のマイクロボールベアリングにより、経年劣化による摩耗を大幅にカットする事に成功。これらは時計全体の寿命を延ばしてくれることとなりました。

独自のシリコン生成マイクロボールベアリング

 

【さらに進化を続けるダマスコ】

上記のテクノロジーだけでも驚愕のダマスコですが、さらに驚くべき事実はその成長の速さにもみられます。300年以上もの歴史がある現代の機械式時計の基礎となる構造は、かつて幾千も存在した時計メーカー達がしのぎを削り少しづつ進化してきた賜物です。

ダマスコは創業から僅か16年、2010年に自社ムーブメントを開発、そして機械式時計の製造を一貫して行える『マニュファクチュール』としての立ち位置を獲得しました。この偉業を行えたメーカーは昔も今も存在せず、近い未来、ダマスコが世界的知名度を獲得した後に語られる事となるでしょう。

自社で開発、製造されたヒゲゼンマイ

 

【無骨なデザインと金属の美しさ】

これまでダマスコの驚愕のテクノロジーを紹介してきましたが、腕時計を選ぶにあたって重要なのはやはりデザインだと思います。ダマスコのデザインは無骨で無機質。質実剛健な、いかにもドイツの工業製品っぽさを感じさせてくれます。フランスやスイスの煌びやかなデザインとは明らかに違うので、好き嫌いがはっきりと分かれて選びやすいですね。

個人的に好きなポイントは金属の美しさ。キラキラと光る鏡面仕上げの宝飾のような美しさとは違い、ぼわっとした光の反射が何とも柔らかい温かみを感じさせます。通常、腕時計のケースは長い期間使用すると生活傷が入っていき、やがて光は損なわれていきますが、ダマスコのケースは美しい金属の姿を永年的に保ってくれるでしょう。

独特の光沢を放つダマスコのケース

 

【ドイツ軍ユーロファイター公式パイロットウォッチ】

腕時計を使用するにあたって考えられる過酷な環境に一つに、戦闘機の操縦時における使用があげられます。マッハ1.5での重力加速度12Gは、通常の腕時計の構造ではおよそ耐えられない力です。確かな精度、明確な視認性、そして信頼おける強度、腕時計にはパイロット達の命を守る重要な役割が求められます。

腕時計のデザインにおいて人気の『パイロットウォッチ』、又は『アビエーションウォッチ』と言ったカテゴリーが有ります。そして、ダマスコの腕時計は、ドイツ軍主力戦闘機ユーロファイターのテストパイロット公式腕時計、エアバス社公式タイムキーパーとして選ばれている、本物のパイロットウォッチなのです。

ダマスコ ユーロファイターモデル『DL57L』

 

【ダマスコの魅力】

さて、今回のお話は他ブランドとは少し違う角度からの切り込みとなりました。実に面白いですね。

接客時、様々なブランドの魅力を語る上で、スペックの説明は必ずお話しさせて頂いております。しかしながら、正直実用的な観点においてはどのスペックも『誤差』程度だと個人的には感じてしまいます。そんな中、このダマスコにおいては本当に使えるスペックが数多く搭載されているのです。

もちろん複雑な構造を有した機械式時計なので不具合もそれなりにあるかと思います。それでも、傷や故障を恐れて神経質に腕に巻くより、ダマスコの腕時計をガシガシ使って頂く方がカッコいいと思いますし、そんな使い方をしてほしいと思います。

参考になればうれしいです。素敵な腕時計ライフをお送りください!

 

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