スイス時計産業の未来を担う巨人『TISSOT/ティソ』

スイス時計産業の未来を担う巨人『TISSOT/ティソ』

【時計界の巨人】

1853年にスイス時計の名産地であるヌーシャテル州のル・ロックルでシャルル・ティソ父子により創設されたティソ。現存する時計メーカーの中でも古参にあたる名門です。

創業当時からの高い技術力は当然のことながら、合理的な生産体制や低価格帯での広い普及、そして目まぐるしく変化する需要を読むマーケティング能力など、およそ現代のブランドに必要な経営術を兼ね備えた優れた企業でした。

何度も襲った時計界の壊滅的な危機さえも難なく乗り越えてきたティソ。例えば、今では大ブランドとしてその地位を築いたスイス時計ブランド『オメガ』の経営危機を、パートナーシップ契約を結び救った逸話は今も語り継がれています。

様々な困難をものともせず、他のブランドも巻き込みながら成長。170年間に及ぶ歴史を創り出してきた力強い姿はまさに巨人と言えます。

雪深いジュラ山脈の町ル・ロックルにある巨大なティソ本社

 

【影響を与え続ける様々なレガシー①~アール・ヌーヴォー~】 1916年

170年以上もの歴史を持つティソ。常に時代の最先端を行くこのメーカーは、現代でも用いられている様々な機構やデザインを生み出してきました。

1916年にロマノフ王朝の依頼で製造、献上されたプリンス(通称バナナウォッチ)は、レクタンギュラー(長方形)ケースとアール・ヌーヴォー様式が特徴的。天才時計師フランク・ミュラーの時計デザインに大きな影響を与えるなど、その後の時計界のデザインに大きく貢献しました。

1916年に生まれたバナナウォッチのオリジナル

 

【影響を与え続ける様々なレガシー②~帯磁性~】 1930年

今では時計の最も身近なトラブルである磁気。スマートフォンやPCなどの電子機器の普及により、腕時計は常に危険にさらされている環境になりました。このことを予想していたティソは1930年、世界初となる耐磁性腕時計を発表するのです。

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【影響を与え続ける様々なレガシー③~ワールドタイマー~】1951年

飛行機や車の発達で世界中どこにでも気軽に行ける様になった現代。そんな時代の到来を知っていたかの様に、まだまだ海外旅行が一般的ではなかった1951年に、ティソは『ティソナビゲーター』を発表しました。ティソナビゲーターは24都市のタイムゾーンを同時に目視できる画期的な機構を持つ腕時計です。

ティソナビゲーター

 

【影響を与え続ける様々なレガシー④~モータースポーツ~】 1965年

時計のシリーズごとにあるコンセプト。陸、海、空や偉人など、その世界観を表現する為のイメージはほぼ全ての時計に設けられています。ティソが1965年に発表した『PR516』はモータスポーツウォッチの元祖となりました。

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【影響を与え続ける様々なレガシー⑤~プラスチック~】1971年

1971年に誕生した『イデア2001』は世界初のオールプラスチック製の腕時計でした。これまでの概念を覆した奇妙な腕時計は、その後スウォッチに引き継がれ、カジュアルウォッチとして世界を席巻します。

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【影響を与え続ける様々なレガシー⑥~タッチパネル~】 1999年

タッチパネル式のスマートフォンが生まれる以前の1999年。世界初のタッチセンサー式ウォッチ『Tタッチ』を発表。このテクノロジーは時計界以外の様々な分野でも活用されています。

2021年、7世代目となるTタッチコネクトソーラーを発表

 いずれのレガシーも当時は懐疑的な物だったのかもしれません。ティソの驚くべきところは、これらの殆どが、後の時代には当然の様に必要とされているという点にあります。ティソは伝統や技術を活用するのではなく、それらを創り出している創造主たる立ち位置にいるのです。

 

【驚異の開発力】

ティソは世界最大の時計ブランドグループ『スウォッチグループ』に属しています。そして、グループ内のエボーシュメーカー『ETA/エタ』と共同でムーブメントを開発、製造しています。グループ内のティソが占める役割は大きく、ティソが開発した技術を、その他のメーカーが順次採用していくと言った流れが主流です。

 ティソが近年開発したムーブメント『パワーマティック80』は、機械式時計の価格における常識を打ち破ったと言えます。

一般的な機械式時計の倍の駆動時間である80時間のロングリザーブを搭載。また、高精度を実現する為、ロレックス以上のハイブランドが採用する『フリースプラング』と言う機構を再設計し、その量産化に成功。生産ラインの安定化により、これらのハイスペックを搭載したムーブメントを10万円台の手ごろな価格で提供する事が可能になりました。

これらの快挙は、スウォッチグループと言う大きな枠組みの中の、大きな存在であるから成しえた事なのです。

 

【幅広い復刻モデル】

170年以上の歴史が有るティソは、その時代時代で多くのヒットモデルを世に送り出してきました。

2013年の創業160周年記念モデルには、1951年に発売された『ティソナビゲーター』を復刻。そして、1916年の発表からちょうど100年後にあたる2016年に『バナナウォッチ』を復刻させ、続いて2019年には、こちらも発表から100年後になる『ポルト』を復刻させました。2021年には1978年に流行したラグスポモデル『PRX』の復刻を成功させます。

 いずれのモデルも共通して言えることは、「それらはオリジナルである」と言える事です。

ティソPRXオート40mm

 

【ティソの魅力】

いかがでしたでしょうか。大変古い歴史を持つ時計メーカーですね。しかもその地位に驕ることなく価格を抑える姿勢と、新たなテクノロジーを吸収していくチャレンジ精神は、今までの、そしてこれからの時計界を担う確かな企業であると言えるでしょう。

因みにティソは、長年にわたり『時計の生産本数世界一』のタイトルを更新し続けています。それは、ティソが世界中で愛されている証明でもあります。

参考になればうれしいです。素敵な腕時計ライフをお送りください!

 

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