ハミルトン ベトナムウォッチ

ハミルトン ベトナムウォッチ

1892年、アメリカで創立された時計メーカー『ハミルトン』の歴史と言えば、アメリカ発展の礎となったアメリカ大陸横断鉄道や、現代の物流の要となる航空貨物便の時計製造で成功を収めてきたことが有名です。いずれも時間管理が大事ですね。そしてハミルトンを語る上で絶対に外せないのが軍事で成功を収めた『カーキシリーズ』です。

カーキシリーズは陸・海・空をコンセプトに展開する幅広いラインナップを有しますが、その核となるカーキフィールド(陸)は1914年のアメリカ陸軍への納入を皮切りに第1次世界大戦、第2次世界大戦とその信頼を勝ち取ってきました。そして1960年代、アメリカ軍の新たな依頼により、更に『堅牢で正確』な腕時計を短期間で量産する事を必要とされたのです。

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時はベトナム戦争の真っただ中。「戦争の賛否は言わずもがな」ですが、仲間の命を守る為にタイムスケジュールは必須で、正確で堅牢なハミルトンの腕時計は当時多くの兵士の命を救ったと言われています。このベトナム戦争時に活躍した事から、通称『ベトナムウォッチ』と呼ばれるようになりました。ちょっとした皮肉にも思えますね。

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【デザイン】
デザインはシンプルで視認性に優れています。太い針は一瞬で針の位置を拾うことが出来、長く伸びた針先が目盛に触れる事により時刻を読み違える事は有りません。丸みを帯びたフォントのインデックスは、アラビア数字で外周が午前、内周が午後の時間帯を表示しています。横の直径は38mmと小径になりますが、ラグが長いので手首の太い方でもしっくりくるサイズ感です。

【素材】
ケース素材はステンレススチール(ブロンズ製も有り)ですが艶消し仕上げになっており、これは戦場で光が反射して自身の位置を特定される事を防ぐ為と言われています。風防素材はサファイアクリスタル。サファイアクリスタルのモース硬度は9(ダイアモンドが10)。アスファルトで擦っても傷は入りません。ストラップはNATOベルト。最も引っ張る力に強い強靭な腕時計ストラップです。

【機械】
内部ムーブメントはもちろん最新のモノに組み変わっておりますが、手巻きの機械式ムーブメント『H-50』を搭載する事により当時の雰囲気を体感する事が可能です。パワーリザーブは驚異の80時間。

また、今では当たり前の機能となりましたが、リューズを上げた時に秒針が止まる機能が搭載されており、ミッション開始時に「ハック!」と言って一斉にリューズを押し込み駆動を開始させていたと言われています。このことから『ハックウォッチ』とも呼ばれています。

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およそ20年間続いたベトナム戦争。当時テレビ等のメディアの発達でその悲惨な光景がタイムリーに世界中に流れたことにより、戦争と言うモノの正体と意義を考えさせられるきっかけとなりました。しかし戦争をきっかけに生み出された技術も多く、今を生きる人々の暮らしを支えているモノも多く存在します。ハミルトンは様々な歴史とその重責を担ってきた時計メーカーです。そしてそれはこれからも続く事でしょう。

いかがでしょうか。今回は少々重たいお話となりましたが、ハミルトンを語る上では避けては通れない事実。そしてその歴史を重んじ愛でてこそ真のハミルトンファン、ミリタリー愛好家と言えるのだと思います。

参考になればうれしいです。素敵な腕時計ライフをお過ごしください!

 

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